Free BGM by Electric Natto-Gohan

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Synthwaveとはなんぞや

 Synthwave。シンセウェイブ。シンセウェーブ。ここ15年弱ぐらいずっとある音楽。ついぞ流行りはしなかったけど、ずっと作り続けられている音楽。これからも作る人がいなくならないであろう音楽。今日はそんな音楽のお話。

 この記事に辿り着いた方々はおそらく、シンセウェイブがいかなるものかというのが知りたくてググったに違いない。しかし、その答えを差し上げることは取り敢えず無理であると言わざるを得ない。なぜか。シンセウェイブというジャンルが未だ体系化されるほどに大きなムーブメントとなっていないからである。そして恐らく今後も大きなムーブメントとなることはないだろう。

 だとしてもむっちゃ簡単に説明するとしたら、”80年代に勃興したシンセポップやテクノポップなどシンセサイザーがメインの音楽を、基本的には歌を無くしてそのシンセのいいかんじの部分だけを取り出して各々が個人の趣向を反映して現代風にアレンジした音楽”、とでも言っておこうか。これについても歌があるのもあるし、おそらく聞く者によってそれぞれの解釈があるとは思うが、私の中ではざっくり言えばそんな感じである。EDMとかとは違うのは、クラブ向けじゃないってとこ。踊るための音楽ではない。

 普段私はフリーBGMを制作しているが、それらは多大にシンセウェイブから影響を受けている。昔はバンドの音楽をたくさん聴いて作ったりもしていたが、歳をとるにつれてそういう音楽がどんどん聴けなくなってきた。なぜか。歌が鬱陶しく感じるようになってしまったということと、もう新しい発見があまり無くなってきたということもある。

 その点、シンセウェイブはまだ聴き始めてから日が浅いので未だに発見が多いということと、作業をしながら聞き流せるものが多いということにおいて何も考えずに垂れ流しにできるので非常に良い。今現在は主にPCひとつで音楽制作が完結しているので、そうした面でも真似したくなるような音楽の作りになっているのも好き好んで聴くようになった理由のひとつだ。

 そんなシンセウェイブの中から私が特に気に入っているアーティストとアルバムを紹介しようと思う。

Hello Meteor

 恐らくシンセウェイブを聴き始めてから一番よく聴いているアーティストであると思う。

 何がいいかって、アンビエントやニューエイジといった要素を限りなくダサくならないように取り入れているという点に尽きる。あと、ドラムによるリズムの構築がなかなか凝っているので、曲の中に明確なメロディとか展開が存在しなくとも飽きずに聴いていられるというのもある。あと多作で毎年ちゃんと新しいアルバム出してくれるのも結構大事だ。

“The End of All Known Land”

 特に好きでよく聴くのがこのアルバムなのだが、その中でもこの”Indigo Inter-Island Transit”という曲が気に入っている。

 アルバム全体を通して、”人類が滅亡した後のどこかの荒地の地下にあるラボで、目的も無いのにAIが延々と生成し続けている音楽”感があってとても良い。この曲のベースラインなんかは特にそういった無目的さ、不明瞭さとは裏腹に非常に存在感がある。

“The Oahu GP 2: Hyper Tropic”

 一部のシンセウェイブと切っても切れない縁にあるのが、ゲーム音楽だ。

 特に90年代のPS1やN64など、プロセッサーが進化してより大きなデータを扱えるようになってからのゲーム音楽の影響が強い。”リッジレーサー”や”エースコンバット”などのゲームのBGMは今現在ストリーミングサービスで聴くことができるのだが、そうした音楽はただのBGMにあらず、普通にアルバム通して聴いていられるようなものが多い。ゲーム自体を邪魔しないような作りになっているのに、ちゃんと個性があり聴きごたえがある。そういう部分がシンセウェイブと親和性が高い。

 で、ゲーム自体は存在しないけどそういう音楽作りたくて架空のサントラとして作られたのがこのアルバムである。もうなんか、やり方が新しいやね。ゲームのサントラ作るとしたらそういうとこと契約して発注受けて、っていうのが常套のやり方だけどそんなこと関係なく勝手に作っちゃうっていう。でも聴いてるとなんかゲームの場面が浮かんできたりもするし。存在しないのに。

 てなわけで、いくつか私の好きなシンセウェイブを紹介したが、これを機に皆さんが各々好みのものを発掘しに行っていただければ幸いである。かしこ。

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